オランダのデン・ボッシュで開催されていたヨーロッパ選手権が終了した。男子タイトルはデンマークが完全制覇し、チーム対抗戦でも優勝した。トマス杯に向けてデンマークチームの準備は万端、絶好調ぶりを各国に向けて強烈にアピールした。
デンマークはヨーロッパで築いたステータスを徐々に失いつつあると過去に言われていたこともあった。しかしピーター・ゲードと彼のチームメートは、オランダで開催されたヨーロッパ選手権において、男子シングルスのベスト4を独占することで、そうした評価を完全に覆してしまった。決勝戦ではピーター・ゲードがケネス・ヨナセンを下して連覇を達成。ニールス・カルダウが銅メダルを獲得した。この3人はアジアのシャトラーにもおなじみの強豪プレーヤーだ。
しかし、先週末、デンマークに4人目のプレーヤーが出現した。若干22歳のヨアヒム・パーソンだ。彼はヨーロッパのサテライト・トーナメントで4連勝を記録するなど、今回のヨーロッパ選手権の準決勝でチームメートのゲードに敗れるまで無敗を誇った。パーソンの活躍によって、デンマークでは新世代の選手が着実に台頭してきていることが分かる。また、新スコアリングシステムを考えると、パーソンの精神的な強さは大きな武器となりそうだ。
また、パーソンはアジアのシャトラーの間でまったく無名のため、トマス杯で試合が2対2のタイになった場合、勝敗の行方を決める第3シングルスのプレーヤーとして鍵を握る存在にもなり得る。実際、彼は第3シングルの座を狙っていて、その重責を果たす自信もある。それに新スコアリングシステムに対しても大きな自信を持っている。デンマークは男子シングルスに最高レベルの4選手を送り出すことができる。

しかし、東京での戦いに向けてデンマークが準備した秘密兵器はこれだけではない。ダブルス陣をさらに強化するために、ラース・パースクとヨナス・ラスムセンのペア復活も計画している。この作戦が好手か悪手かは、それぞれの立場によって見方が異なるだろう。どちらにしても、昨年ペア解消を発表したこのコンビは2003年の世界チャンピオンであり、前回のトマス杯でもほぼ負け知らずの戦績を残したペアだということだけは言える。
一方、イエンス・エリクセンとマーチン・ルンドガード組は今年に入ってから不敗を続けており、世界のトップペアも既に何度か破っている。このベテランペアは、今週、デン・ボッシュのヨーロッパ選手権において、チームメートのボー/モゲンセン組を決勝で破りタイトル連覇を達成した。決勝で敗れたボー/モゲンセン組はトマス杯で理想的な第3ダブルスか、対戦相手によっては第2ダブルスとして活躍するだろう。
ヨーロッパ選手権の決勝で戦った2組のペア以外にパースク/ラスムセン組が復活すれば、デンマークがトマス杯参加国の中で最強チームの1つになることを疑う余地はないだろう。36歳のエリクセンを始め、ほとんどのトッププレーヤーがすでに30歳代になっているデンマークにとって、今年の大会を逃せば優勝を狙えるのはしばらく先になってしまう。
さらに注目すべき点がある。デンマークチームはヨーロッパ選手権を目標にコンディション作りしたわけではないにもかかわらず、全種目を制覇した事実だ。彼らのターゲットはただ1つ、トマス杯優勝しかない。過去に何度か、あと一歩でトマス杯を逃してきたデンマークチームにとって、今年こそヨーロッパの国として初の栄冠を手に入れる絶好のチャンスだ。
デンマークが夢を実現するための決勝戦の相手は中国になる可能性が高い。この2強の勝敗の行方は最終戦までもつれ込む可能性があり、その場合、最近の対戦成績ではデンマーク優位である。デンマークチームにとっては、強力なダブルス陣がいることも強みだが、それ以上の材料が、今年、中国の成都で開催された大会で中国のエース、リン・ダンをピーター・ゲードが破っていることだ。
ヨーロッパ選手権ではデンマーク以外にも上々の仕上がりをアピールした国がある。オランダのデン・ボッシュでデンマークは圧倒的な強さを見せつけたが、他にも好調なチームが目に付いた。女子シングルスでは、ドイツを代表するシュー・ハイウェンが、決勝戦でミア・アウディナ(オランダ)を相手に大熱戦の末に優勝を飾った。アウディナはオリンピックで銀メダルを獲得した時と同様のベストコンディションに戻ったことを自ら認めている。このことから、ドイツとオランダはともにユーバー杯に強力な布陣で臨めることが分かる。特に、シューを第1シングルに、そしてデン・ボッシュで銀メダルを獲得したグレター/シェンク組が第1ダブルスに出場するドイツは強力な布陣をそろえてユーバー杯に臨む。また、ジュリエン・シェンクは準々決勝でトップシードのホンヤン・ピ(フランス)を熱戦の末に破ったことで、シングルスプレーヤーとしての実力も証明した。
2月のユーバー杯大陸別予選で優勝したオランダチームは、今回のヨーロッパ選手権でもその強さが本物であることを改めて証明した。オランダはミア・アウディナだけでなく、準決勝でふくらはぎを痛め棄権を余儀なくされたとはいえヤオ・ジエも十分な活躍をした。さらに今回の選手権でシューをあと一歩のところまで追い詰めたジュディス・メレンディクスもいる。メレンディクスがユーバー杯のメンバーに選出されたら、第3シングルスのプレーヤーとして相手チームにとって実に手強い選手となるはずだ。また、ジュディスは怪我からすっかり立ち直ったようだ。ダブルスでもハイレベルの選手が揃うオランダが東京で活躍することは確実だろう。
イングランドもゲイル・エムス/ドナ・ケロッグ組が女子ダブルスで優勝するなど、ヨーロッパ選手権で注目を集めた。決勝戦でグレター/シェンク組を破った強力なイングランドペアが、ユーバー杯ではチームのけん引役として活躍するはずだ。
混合ダブルスはトマス杯・ユーバー杯の競技種目ではないため、ファンにとってはそれほど重要でないかもしれない。しかし、決勝戦はデンマークペア同士の戦いとなり、トーマス・レイバーン/カミラ・レター・ジュヒル組が、同僚のイエンス・エリクセン/メッテ・ショルダガー組を下して優勝した。ここでも改めてデンマークの強さが際立った結果となった。
ヨーロッパ選手権の試合結果は
http://www.eurobadminton.orgを参照のこと。